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April 17, 2008

仁左衛門の弁慶 四月大歌舞伎夜の部・勧進帳/歌舞伎座/2008/4/16

仁左衛門というと「富樫」のイメージがあって(浅黄の衣装がそれは似合う)、最初、弁慶は三津五郎(これも海老蔵襲名披露の代演の印象が強い)だと勘違いしていたのですが、よくみたら仁左衛門だったので驚きました。富樫は勘三郎、玉三郎の義経も珍しいので、ミーハーながらこれは見ねば!と二回目の幕見トライアル。夜の部全部みてもよかったのですけれど、「勧進帳」は、花道全部といわずとも七三が見えないとつまらないので、立見。
ええ、いい弁慶でした。理由は以下に。

《配役》
武蔵坊弁慶 片岡仁左衛門
富樫    中村勘三郎
源義経   坂東玉三郎

弁慶といえば、豪胆の代名詞。些か荒っぽくて強面のする役で、知っている中では先代幸四郎。当代ならば団十郎かなという感じなのですが、どうしてどうして。仁左衛門の弁慶は「見るからに」というのとはちょっと違っていますが、気持ちのスカッとした男でした。

あまりに有名な筋書きが頭に入っていることもあって、普通の弁慶は、「関守の富樫を納得させる」ということが最初からわかっていますが、仁左衛門の弁慶は「守らねば!」というその一念で火事場の馬鹿力を出す男でした。頭より身体がまず先に出て、雄雄しい身体で富樫の前に立ちはだかって(本当は富樫が立ちはだかっているのですが)、無我夢中で喋る。何が何でも通るぞ。

そういう単純な思いが現われるので、無事通ったあとのふるまい酒を愉しんだり、つい踊ってしまったりするところが全くあざとくない。義経に対しても、立場として守るのではなくて本当に敬っている、無骨で気のいい男なのでした。ナイスガイ。
弁慶役者ではなくて、弁慶自身を万雷の拍手で送り出してやりたいと思ったのは初めてです。

勘三郎の富樫も初見ですが、こちらは、目立つので将来の幹部候補生とも目されるが、組織の深部に入り込んでゆくと潰されてしまうのかもしれない中堅の官僚、という感じ。
わたしが見逃したかもしれませんが、彼がいつ弁慶を通すことにしたのかわからない。わりと最初の方から、ほだされかけていないかしら。任務に忠実ではあるが、弁慶を通してしまう心根が、彼の将来には吉と出ないような気のする、やや心配な関守なのでした。( texted by brary)

P.S. 勘三郎の「じ」の発音が前々から気になっていて、『元禄繚乱』で「大叔父」と言うたびに「オーズィー」ときこえたのですが、「勧進帳」と言っているのに「播随院長兵衛」のようにきこえてこまりました。

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